フランチャイズで独立して失敗しないためにオーナーが知っておくこと
2017/05/07

退職金を用意し、金融公庫から借り入れし、フランチャイズザー(本部)と契約を交わす。
ある意味、この瞬間がテンションマックスになっている状態かもしれません。
そして、1ヶ月経過し、2ヶ月経過し、5ヶ月が経過するころ、事業計画とは違いすぎる結果に驚くオーナーさんもいることでしょう。
最初の頃は、本部のSV(スーパーバイザー)などが支援してくれている中で、右も左もわからないまま爆走していますから、いくら儲かっているのかも良くわかっていないものです。
一日中動き回って、働き続けて、土曜日も日曜日もなく働き続けて、3ヶ月が経つころにやっと「おかしい」と感じ始めます。
そう、ここに来てはじめて「動いているわりに、お金が残っていない」ことに気づくのです。
まさに言葉通り「動いている」のです。
「働いている」のではありません。
だから「お金が残っていない」のです。
それでは、なぜこんなことになるのかをお話します。
目次
1: 動くと働くは違う
2: 事業計画は誰が書いた?
3: 毎日収支をチェック
4: SVに振り回されるな
5: 時給はいくらですか
6: まとめ
1: 動くと働くは違う
勘違いするのですが、一日中動いていると「儲かっている」と錯覚します。
これはサラリーマンのときの「癖」です。
サラリーマンは動いていくらです。
残業してもお金になります。
動けば動くほどお金になります。
出張に行ってもお金になります。
しかし、起業したオーナーは、動いているだけなら、全くお金になりません。
動けば動くほど経費がかかります。
車で移動すればガソリン代が必要です。
電車で移動すれば電車賃が必要です。
残業してもお金になりません。
光熱費が余計にかかるだけです。
出張に行ってもサラリーマンのように、旅費や宿泊費を誤魔化して、お小遣いにはできません。
そもそも出張に行く理由が「儲け」でないなら、動くだけ「損」です。
このように「お金」ということに、シビアにフォーカスすると「動く」だけでは儲かりません。
「動く」のではなく「働く」ことが必要です。
そして働くことは、何も体を動かす労働だけではありません。
頭を使って働くことも必要です。
「いや~、今日は18時間も動き続けたよ~」と思うのなら、その18時間でいくら儲かったのかを思い浮かべる「癖」をつけましょう。
起業した経営者にとって、時間はお金よりも大切です。
2: 事業計画は誰が書いた?
あなたが今、実績と比較している「事業計画」は、誰が作成しましたか?
あなたが自ら商圏へ足を運んで作成したものでしょうか?
それとも、本部の担当者が、本部の情報を元に作成したものでしょうか?
本部は「統計」「平均」「経験」という、今までに集めた情報から導き出していることが多いです。
しかし、商売や広告に関して言うと「全く同じことはない」というのが正解です。
だから、あなたが今比較している事業計画は「現実」に即していない可能性があります。
一度、1日かけて、商圏となるところへ実際に足を運んでみてください。
- どんな人がいるでしょうか
- どんな家族が住んでいるでしょうか
- 年収いくらくらいの会社員が多いでしょうか
例えば、最近多い「畳の張り替え」をFCでやっていたとしましょう。
あなたの商圏に「畳」のある家が、どれくらいの割合であるか、あなたは実際に自分の目で見て知っているでしょうか。
新興住宅地なら洋風の家が多いはずです。
畳の部屋は少ないです。
あったとしても、新築なら張り替えません。
だったら、あなたが相手にするのは、どんな家でしょうか?
築20年以上の木造建築一戸建てでしょう。
畳のある部屋なら、障子があるでしょう。
外から家を眺めれば、どれくらいの家に畳がありそうかわかりますよね。
こういうことを、本部任せにせず、自分の目と肌で感じることが大切です。
確かにこれは面倒です。
でも、これは「働く」ことにつながります。
家の中で「儲からないなぁ~」と言っている暇があれば、外に出て商圏を見に行くのがおすすめです。
その上で、もう一度、自分で事業計画を立てましょう。
きっと本部の計画と大きな違いがあると思います。
3: 毎日収支をチェック
毎日の収支をチェックしてください。
- 売上額
- 原価
- 利益
この3つを毎日明確にしましょう。
そして、
- 自分が使った経費
- 光熱費
- 広告費
これらのチェックも忘れないように。
多くのオーナーさんが「売上」ばかりに気がいきがちです。
しかし、事業を健全にするには「利益」にフォーカスです。
また、入金の管理も大事です。
売掛金ばかり発生して、回収できないまま「黒字倒産」ということもありますから。
最初は毎日収支をチェック。
慣れてくれば、週に1度のチェックでも大丈夫でしょう。
でも、毎日やっておくのがおすすめです。
これはオーナーである経営者の仕事ですからね。
また、経営者に必要な「資金」については
『フランチャイズ経営者(準備中の方も)必見!フランチャイジーの資金計画と把握 』
を参考にしてください。
4: SVに振り回されるな
SV(スーパーバイザー)は頼りになります。
本部しか持っていない情報を持っています。
そしてあなたに経営や技術を教えてくれるパートナーです。
しかし、SV全員がプロではありません。
求人広告を見ていると、FC本部がSVになりたい人を募集しています。
ということは、実務経験ゼロのSVも紛れているということです。
あなたと同じように、SVとして入社して数ヶ月とかの人もいるということです。
本部はちゃんと教育していると言うでしょう。
しかし、ベテランSVとペーペーSVでは経験値が違います。
提案できることも違います。
まして「経営者」「技術者」としての経験がないSVから、どんな有効なアドバイスが貰えるでしょうか。
SVは「本部の社員」です。雇われている人材です。
あなたの店に、SVは命をかけてはいません。
SVの話は参考になりますが、あくまでも本部が持っている「平均的」な情報だということを知っておきましょう。
SVがあなたの加盟店のためだけに、いろいろと調査分析し、知恵を絞っているわけではありません。
SVが担当する加盟店の中のひとつです。これが現実です。
5: 時給はいくらですか
毎日収支をチェックしましょう。
ということに関連しますが、あなたの時給はいくらなのかを知りましょう。
起業して生活していくためには、最低でも
時給2,500円
が必要です。
これが判断するラインです。
あなたの時給は、今いくらですか?
今すぐに計算してみてください。
もし、時給2,500円を下回っているのなら、そのまま続けても赤字続きになるか、生活がサラリーマン時代よりも苦しくなります。
こんな状態をあなたは望んでいませんよね?
サラリーマン時代よりも、豊かで自由で幸せに暮らしたいから、フランチャイズを始めたのですよね?
多くのオーナーさんは、自分の時給を知りません。
もし、知り合いに個人事業主さんがいらっしゃったら、聞いてみてください。
『時給、いくら?』って。
スパッと答えられる人は少ないです。
そして、答えられない人が儲けているかも見てください。
ほとんどの場合、時給を意識出来ていない人は、儲かっていません。
ですから、あなたも今日から自分の時給を意識して、働くようにしてほしいのです。
今の時給。
目標とする時給。
ギャップがあれば、どうすれば埋められるか。
時給を意識すると、どんな働きをすれば埋まるのかを考えるようになります。
この思考の癖が、儲けるためには必要です。
6: まとめ
サラリーマンからオーナーになると、忙しく動いているだけでは稼げません。
オーナーにとって大切なのは「時間」です。
ということは、稼げないことに対して「動く」ことは、時間を浪費していることになります。
オーナーがすることは、働くこと。
自分が動き回って、時給2,500円以上を稼げるのかどうか。
動き回るたびに時給がアップするのか、それとも下がっていくのか。
誰もが同じだけ持っている「24時間」で、如何にして働いて稼ぐかです。
どんぶり勘定でFC加盟店を経営すると、本部だけが儲かって、あなたは歯車になっている。
そんなこともありえます。
何のために大金をつぎ込んで、安定したサラリーマンを辞めてまで、FCで起業しようとしたのかを思い出してください。
自由、豊か、幸福。
この3つを実現したいからだと思います。
ぜひ、今回お話しましたことを確認してみてください。
もし、上手くいっていないところがあれば、傷が浅いうちに修正しましょう。
傷口が広がって、手の施しようがなくなっても、SVも本部も助けてはくれません。
本部任せにせず、あなたは自分でチェックし、頭を働かせることが大切です。